「電線に触れたのが、
 
面白かった」

高校を出て3年
まだ全部、覚えたい

佐飛 慎太郎 サビデンキ/電気工事・3年目(21歳)

高校を卒業してすぐ入社し、いまは3年目。電気工事を中心に、エアコンも水道もこなしながら、社用車を持ち、後輩を連れて現場に出るようになった。「まだまだ下っ端です」と笑うその3年間には、頭が真っ白になった夜も、こみ上げた涙もある。

Story 01

気がつけば3年目。目の前のことをやり続けてきた。

高校3年の10月頃まで、僕は大学に行くつもりでした。卓球をやっていて、ある程度強くなって、将来的に実業団に入れるレベルの大学に行きたかったんです。だから学部にはこだわっていなくて、狙っていたのは関西学院とか、関西の大学でした。

ただ、模試で大学の判定が出て、勉強で進学するには厳しかった。それで推薦で行こうと思っていたら、枠が埋まっていて。どうしようかと相談したときに、父(現社長)から「サビデンキに入ったら?」と言われました。仕事など詳しくは知りませんでしたが、なんとなくネガティブな印象はなかったし入ろうかな、と。そんな感じで入社しています。

カッコいい理由は、正直ありません。

いまの仕事は電気工事が中心ですが、うちはエアコンも水道系もやります。中学校の現場で天井の中の配線を触ることもあれば、4階までエアコンを担いで上がる搬入もある。図面まわりの事務作業もしますし、最近は設計と見積もりも自分でやります。社用車をもらって、後輩を連れて現場に行くようにもなりました。

Story 02

電線に触れた。天井の中を見た。
それだけで面白かった

入社したときのモチベーションは「楽しく現場ができればいいかな」くらいでした。先輩たちは「現場が忙しい」と言っていましたが、僕は自分のペースでやりたいタイプなので、その忙しさを楽しめればいいな、と。

最初の「楽しい」は、本当に単純なものです。それは、電線に触れたこと。普段何気なく生活している時には見えない部分にワクワクしたんです。
——電線ってこんなものなんだ!
——天井の中を覗いて、こんな風になっているんだ!
——コンセントの裏側を見て、ここに差し込むんだ!
普通は触れないものばかりですから、何も分からないところからの楽しみでした。

いまは少し変わって、「成長が見えて楽しい」になりました。できるようになってきた分、「自分の手が遅いな」という反省も出てくる。その反省ごと面白い、という感じです。

うちみたいに何でもやる会社は、覚えることが多すぎるのが面白くもあり、難しいところでもある。電気の基準と水道の基準で変わる部分があって、ごっちゃになると本当に分からなくなるんです。「ちょっと勘弁してほしい」と思う時も、正直まだまだあります。エアコンに関しては自分一人でも対応できるようになってきた部分が多いですが、水道はいまだに「これどうやるんだっけ」となる時がしばしば。業務と求められる知識の幅が広いんです。

でも逆に、全部覚えられたら無敵だなと思っています。

うちを辞めて自分で家を建ててしまった人もいて、それを見ると、知識や技術がないからと逃げたくない、悔しいから覚えなきゃ、と思う。最近やれることが増えてきました。これからももっと増やしていきたいですね。

Story 03

頭が真っ白になった1年目と、
かかってきた電話

1年目、初めて一人で分電盤を組みに行った現場で、電線をショートさせてしまいました。目の前で火花がバーンと散って——出るとも思っていなくて。これまでの経験の中で一番肝が冷えた瞬間です。頭が真っ白になって、挙動不審になっていました。時間も19時に近くて、帰らなければいけない時間で、「このまま帰ったら終わりだ」とずっと思っていた。先輩に電話をかけても繋がらない。しばらくして先輩から「大丈夫か?」と電話がかかってきて、そこで解決しました。あの電話がなかったら、本当にずっと慌てているだけだったと思います。分電盤は結局、取り替えになりました。

いまでもブレーカーを入れる時は腕が震えます。
電気が来ていないのは分かっているし、確認もしている。
それでも通電の瞬間は怖い。

成長と共に、悔しい思いをしたことも。LANケーブルを引くだけの、いま考えれば大したことのない工事でした。ただ、材料の手配から設計・見積もりまで、初めて自分でやる案件だったんです。先輩に相談して設計したのに、実際とあまりにも違いすぎて、何度も設計が変わって、期限も迫ってきていた。こんな簡単な工事なのに何回も現場を見に行って、自分のレベルの低さを周りに露呈してしまった。お客さんには何も言われませんでしたが、プライドもあって、グッときて涙が出ました。

乗り越えたというより、工事をしなければいけないと決まっていたので、もういくしかないという感じで。ただ、始まってみると意外となんとかなる。見積もりは赤字だったかもしれませんが、現場を完成させるという意味では何とかなると分かりました。最近の見積もりが少し楽になったのは、あの挫折があったからです。

憧れの先輩、ミノワさんの車。

憧れている先輩もいます。蓑輪さんという、僕が入社した時に3〜4年目だった人で、いまの自分がちょうど当時の蓑輪さんの年次なんです。当時の蓑輪さんには僕という後輩がいて、僕にもいま後輩がいる。並べてみると、知識の幅も、持っている道具の量も全然違います。蓑輪さんの車の中はめちゃくちゃ綺麗で、「ここにこの道具があるから取ってきて」と一発で言ってもらえる。だから迷わない。スピードが全然違うんです。僕の車も一応まとめてはいますが、棚を作って整理しているわけではないので、崩れる時はすぐ崩れる。この間掃除したら「こんな道具持ってたっけ」というのが出てきました。後回しにしがちなところが、そのまま仕事に出るなと最近思いました。

後輩に、必ず伝えていること

「電気は見えない」ということです。

電線は見えますが、そこに電気が流れているかは目では分かりません。天井の中で確認せずに切ってショートさせたら、学校中が停電して大きな損害になる。だから切る時はちゃんと確認しようね、と。痛い思いはしてほしくないので、しっかり電源を切ってねと言い続けています。

Story 04

モチベーションもプライベートも、
どっちも大事にしてほしい

うちの雰囲気を一言でいうなら、仲の良さです。ギスギスした喧嘩がなくて、みんなフレンドリー。緊張感が必要な場面はありますが、それ以外は冗談を言い合って笑っています。僕は先輩に対してもおじけづかずに喋れるタイプで、10個くらい上の先輩から夜中に「飲みに行こうぜ」と呼ばれることもあります。

これから現場で働きたいと思っている人は、朝が早かったり夜が遅かったりする中で、モチベーションを保つのが難しい時もあると思います。僕の場合は、共通の趣味の友達がいたり、よく遊んでくれる先輩がいて、「この日のために頑張ろう」と思えることがモチベーションになっていました。仕事だけでなく、自分のプライベートも人生の大事な時間です。両方をうまく両立させて、仕事を楽しんでほしいなと思います。

そして、「現場作業=ブラック」という世間のイメージは、若くして入った自分が変えていく役目だと思っています。残業はしたくないし、なるべくスマートに働きたい。プライベートも大事にしたい。社会からどう見られるかは会社の信頼に繋がるので、そこはビジョンを持ってやっていきたいです。電気は、絶対に無くならない仕事ですから。

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